たった一つの流れ星

「今日永井さんからまた連絡あったよ!」
仕事から帰った佑二に夕食の支度をしていた亜紀が嬉しそうに言った。
「そうか、永井さん何だって?」
「この間の曲のこと、オーケイだって!」
亜紀がキッチンから顔を出して、指で丸を作る。
「そうか!それは良かった」
佑二は溜め息を吐くと、リビングのソファに沈み込む。
タバコを探そうとして…禁煙していたことを思い出し、そのまま大きく欠伸をする。
佑二はカウンターキッチンの亜紀を見た。下を向いて一生懸命料理をしている。
料理が苦手な亜紀は普通の人の倍、準備に時間が掛かる。
「亜紀、手伝おうか?」
佑二が座ったまま声を掛けると、亜紀は笑顔で顔を上げ、
「ううん、もうすぐで出来るから、佑くんは休んでて」
と言った。
佑二は少しはにかむとテレビのスイッチを入れた。
< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop