ドーナツの穴
彼女がドーナツ買ってきた。


「ドーナツ食べる?」

「穴があいてるヤツなら食べる」

そう言うと、シンプルないかにもドーナツです。という感じのドーナツを渡された。

因みに彼女自身は丸い小さいドーナツを食べながら。


そして僕はドーナツに空いている穴を覗き込んだ。


ここからだけ、僕にだけ、見える生物が居る。



「あー、居る居る…」

「何が居るの?」

不思議そうにそう尋ねられて、
声が出ていた事に気付く。

そもそも、ドーナツの穴を覗き込んでいること自体不思議だろう。
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop