多重書きの二等辺三角形

もう私には、始まりも終わりもわからない。


どうかこの際とどめをさしてほしい…。


この2人しかいない病室で…私にとどめを刺してほしいよ。


「ねぇ、純ちゃん。こんなこと言ったら頭おかしいって思われるかもしれないけど聞いてくれる?」


『なんだ?』


「まだ純ちゃんが少しでも私のことを好きでいてくれる内に…せめて純ちゃんの温もりがまだここに残ってる内に…その手でその体で私を壊してほしいよ。殺してほしいよ…。」


『そんなこと言うなよ、そんなこと言うなよ!!!』


純ちゃんは涙を流していた。


それは私が初めて見た純ちゃんの涙だった。


沖縄の海よりも綺麗な涙だったんだ。


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