新撰組の姫君 〜もしもの世界・斎藤一編〜
兄様に目をやると何かをぶつぶつと呟いている。

何を言っているのだろう?

「…十六夜、行くぞ」

斎藤さんがそういうと慌てて立ち上がる兄様。返事をしていないことを見ると本当にぼんやりしていたのだとわかる。

「…襖」

そう呟いた斎藤さんの前には襖。あっ…私を持ち上げているから

「あっ…開けますね」

私と同じく気が付いたのか兄様が襖を開く。

兄様が襖を開くと同時に歩き出す斎藤さん。

歩いているのに私への衝撃はない。
< 10 / 91 >

この作品をシェア

pagetop