砂糖水に溶かした日常


あの人に初めて会った日がいつだったか覚えてはいない。

いつしか、俺のバイト先のコンビニに、深夜ふらりとやってくるようになっていた。

初めてを覚えていないのは、意識を、していなかったから。ただの、お客さんだった。

真夜中に、お弁当とかアイスとかシュークリームとかスナック菓子とかとかカップラーメンとか手当たり次第にカゴに放り込んで、無表情にレジにそれを突き出す。

こんな時間に、こんなに食って、よくもまぁ太らないんだなぁ、と、いつもぼんやり思っていた。


骨のような体だった。

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