砂糖水に溶かした日常



帰りに、靴箱をあけるとゴミ屑が詰め込まれていた。

それを一つずつ払いのけて、靴を履くと中に遺物が入っていた。

石でも入れられたのだろうか、とぼんやり思って靴を取り上げると中から桜色のマネキュアが転がってきた。





佐奈ちゃんだ。

すぐに分かった。


大丈夫。私たちはまだ繋がっている。
だって、すぐに分かったもの。
名前がなくったって佐奈ちゃんがすることは、分かるんだよ。


私たちはまだ関係している。


それだけが残された私の、強さだった。


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