Water World Wars ~軍人と少女の恋物語 【序】
 宇宙暦、2024年。

 きっかけは、いつどのようにして行われたか――定かではない。

 豊かに慣れすぎた人類は、いつしか貪欲な思考に囚われ、自分たち以外の星を手に入れたいという欲望を生み出していた。

 豊かさのために全てを注がれていた科学力は、戦争のための科学力へと変わっていく。

 軍隊を編成し、自分たち以外の惑星を侵略するべく軍艦を宇宙(そら)へと浮かべ、愚かな戦争を打ち鳴らす。

 血が血を呼び、血で血を洗う。

 宇宙(そら)には無数の兵士たちが政府の思惑のために散り、帰らぬ存在となった。

 苛烈していく永き戦争を収めるべく、母となる地球政府の取った行動は「地球統治」という計画。

 各惑星の代表者との話し合いの末、全太陽系の惑星は地球政府の統治下に置く、と定められた。

 ようやく星間戦争は一応の収束を見せたかに思えた――が。

 平和なひと時は、ほんの一瞬のこと。

 統治された各惑星で採取される資源のほとんどを「資源の共有化」という名目で地球へと搾取され、少しでも抵抗すれば圧倒的な武力で弾圧される。

 そんな傲慢で残虐な支配力を見せる地球に、星々は次々と「独立」を企てることとなり、それ以降、地球への反旗を翻す星がぽつぽつと出現することとなった。

 そして最初の星が独立を宣言したのが、宇宙暦3005年。

 以上が、今回の物語が始まる以前の出来事であり、きっかけでもある――……

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