15歳のラビリンス


「…受験が終わるまでの辛抱だろ?」


「…」



そう言われたけど、私は返事をしなかった。


ろくに挨拶もせずに学職を出ると、階段からおりてきたジンと目があってしまった。



学職は階段のすぐそばにあるから、出てきたところバッチリ見られた…。



「何だよ?悪い事やっちゃった?」


「ジンじゃないし。ちょっと授業中にボーっとしただけだよ」


「それでもじゅうぶん、悪い事ジャン」



ジンはそう言って私の頭をぐしゃぐしゃとなでる。



優しくて力強い手…。


先生達は、どうしてこの手を私から離そうとするの…?



< 89 / 338 >

この作品をシェア

pagetop