永久の贄[BL]
「かい、り……何を?」


気付いたら彩十を片手で抱き起こして自分のすぐ傍に寄せていた。

普段より熱が高いせいか彩十の体温がよく伝わってくる。

とりあえず落ち着けとかの言葉も言う気はないし、

ましてや“オレもおんなじ気持ちだ”だなんて嘘も吐けない。

ただ黙ってしばらくそのままにしておいた。

程なくして、彩十が小さなか細い声で“ありがとう”と呟いた気がしたが、

あえて聞かなかったフリをする。そしてババ様の力が薄れ、彩十がまた苦しみ出すその直前まで、

長いようで短い時間をこのまま過ごした。この温かさを絶対に失いたくないという決意を新たに強めながら。
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