永久の贄[BL]
「海理…………」

「ああ、待たせたな。死なないでよく待ってくれた」


血塗れで、少し角が生えているようにも見えたけれど間違いなくそれは海理だ。

触って確かめようとする手を払いのけられ、傍に置いてあった薬呑器に入れられた水を半ば無理矢理飲まされた。

海理の事だから口移しとかしてくるんじゃないかとも思ったが、そんな事はされず。

ゆっくりとそれを飲み干せば、少しだけ身体が軽くなったような……気がした。


「有難う……」


また涙が溢れた。今度はそれを海理が拭ってくれた。

何だか少し微笑んでいるようにも見える。そんな微笑みを俺は見た事があっただろうか。


「ゆっくり休め。もうお前は死ぬ危機は乗り越えられたのだから。
早く元に戻れ。今までお前を抱けなかった分、存分に犯してやりたいから」


何その恐怖。存分にされるのは困るが少しなら相手をしてやっても良い。

優しく口付けをされたのを最後に、俺の意識はまた暗闇へと溶けていった。
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