hair salon 『K』
頭がだんだん空っぽになっていく。


《…あんな笑顔、初めて見た…》


胸が切なくなる。


突然、ドアが開いて、いつもの号車の方から小宮山さんがやって来た。


「あ、やっぱりいた」

そう言って笑う小宮山さんの笑顔が、さっきの笑顔と違くて…


ズキッとした。


「何でこっちに行ったの?乗ってきたのはいつもの号車だったのに…」


「あ…えっと…小宮山さんが話してるから、悪いかなって…」


「全然悪くないよ」

小宮山さんはそう言いながら、私の隣の席に座った。

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