hair salon 『K』

「でも私だけでここを守れるかなんて…」


「は?何言ってるんだ?」


黒田さんは少し目を見開いた。


「茜だけじゃなくて、涼太にも頼もうと思ってるんだけど…って言わなかったけ?」


「聞いてません‼」

私は素っ頓狂な声を出してしまった。


「あはは、悪いなー。

この店は茜と涼太のダブル店長でやっていってもらいたい‼」


「そんな…だったら‼」


「まさか断らないよな?一度引き受けた仕事だもんなー…。それに今使ってるハサミは俺があげたんだよなー…なぁ茜?」


「ぐっ…」


そこで私はハッと気がついた


「まさか…わざとですか!?

わざと涼太にも頼むってことを言わなかったんですね!?それにハサミだってこうなることを見越して…‼絶対そうだ…」


「ははは‼」


黒田さんは否定しなかった。



< 181 / 212 >

この作品をシェア

pagetop