青い夕日
すると男ぶるぶると震えだし、

やがて氷に包まれて、静かに…

  絶命したのです。

私が、我に帰った時には、

もう手遅れだった…。

君は私の後ろに居て、静かに…

私を見つめていた。

振り返ると君はいつものように

私に優しく、微笑みかけてくれました…。

その時は本当に嬉しかった。


次の日の朝、私が目覚めると、君の姿は

どこにもありませんでした…。

その時、私はすぐに気が付きました。

『君は逃げた』のだと。

この妖怪の巣から…

恐れをなして…。

それは

身の毛もよだつ光景だったでしょう…

君の目の前で男がだんだん凍ってゆく様は。

私という物体は『人を愛せない。』

だって私は…雪女なのですから…。

雪女は気に入った男を氷づけにし…

山へ持ち帰る。

それが掟なのです。

だけど私は君という人間に出会って

思ったのです。

『人を愛することは、自分を愛する事』

なのだと。

掟にそむけばどんな罰が下るか分からない。

だけど私は君と過ごす毎日がとても

かけがえの無いものに思えた…。

君を氷付けにする事なんて、

出来るはずが無いのです…。



< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop