春よ来い


腹が減っていただけなのだ
ただそれだけ

ただそれだけの理由で、近くに居たいかにもひ弱そうな少女の腕を掴んだだけなのだ

今思うと、馬鹿だな、俺

腕を掴んだ瞬間の、あの、 声 があまりにも美しかっただけなのだ

一旦、空気を吸い込み、一言




「なんですか?」






ただその 声 に惚れただけなのだ





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