最後の世界がきみの笑顔でありますように。


「何言ってんだよ…。俺は何もしてねぇ…。」



七瀬のぶっきらぼうな言い方に、つい笑ってしまう。


「笑うな。」



ピンッ

「痛っ!」

額がジワジワと痛む。どうやら七瀬にでこぴんされたようだ。



「…もうっ………。」



おでこを押さえながら、小さく笑う。



「本当…ありがとう。七瀬、高校頑張って。」



「…あぁ…仕方ねぇから頑張るよ。面倒くさくなったら、図書室でサボるから心配すんな。」



七瀬はそう言ってあたしの頭をガシガシと撫でた。



「…幸せになれよ……。」


七瀬の言葉に、あたしは笑顔を浮かべる。



「…もう…幸せだよ…。七瀬こそ、幸せになって…。」



あたしは手探りで、七瀬の手に触れる。そのまま握った。



「支えてくれてありがとう…。」



「…だから、俺は何もしてねぇーよ…。ほら、そろそろ坂原先輩来るんだろ?早く行け。」



七瀬はあたしの背中を軽く押す。



『頑張れ』そう言われた気がした。




七瀬とも別れて、あたしは前に進む。



カツン…カツン…



これでお別れじゃない。いつだって会える。同じ空の下にいるのだから。



グイッ


「えっ!?」


急に腕を引かれた。その反動で白杖が手から滑り落ちる。









< 301 / 318 >

この作品をシェア

pagetop