プリ×プリ!〜6人の候補生とお姫様〜

*帰り(×水沢)

「…ちゃん。彩音ちゃん」

「っはい!?」

「やっぱり聞いてない。学校出た時からずっとその調子だし」

「…っ」

実はというと、あたしはこの先輩が苦手だ。

なんてったって、初めて見た時、女の子に囲まれてたんだもん…

でも言えるわけない!!

「…俺のこと苦手だろ?」

「…っ!!」

「やっぱりな…ま、いっか。これから振り向かせる予定だしな」

「は?」

「さっきお前言ってただろ?両方手伝うって。あれ、絶対に俺の方手伝ってほしいんだよな」

「どうしてそんなこと…」

「決まってるだろ。皇帝になるんだよ、俺様は。そのためにお前の協力が必要なんだよ。分かる?」

「嫌です。分かりたくもありません。あたしは何があっても両方の手伝いをします」

あたしがそう言って走り出すと、水沢先輩が腕を掴んだ。

「離して下さいっ!」

「やだ。絶対に俺を好きにさせて、協力させてやるからな」

そう言って水沢先輩が顔を近づけてきた。

“パンッ”

あたしはとっさに先輩の頬を叩いてしまった。

「自分の都合で人の気持ちを弄ぶなんて最低です」

あたしはそのまま走った。

けれども水沢先輩は来なかった。

「人の気持ちを弄ぶ、か。こんなこと言われたのも、叩かれたのも初めてだな」

叩かれた頬を撫でながらそう言った。
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