秘密のMelo♪y*番外編*

ちょっとだけ虚しくなりつつも相変わらずバカな言い合いは続けて。

しばらく経ってあえなく撃沈していると、キャロルの解放感溢れる弾んだ声が部屋に響いた。


『ん終わったーっ!』


『えっ❤ほんと!?』


『てかあなた最後のほうまったく働いてないでしょ。誰の仕事だと思ってるの?』


『いやーさすがはキャロル! 美人だしスタイルいいし可愛いし仕事もできるし最高だねっ女として、いや、人として!』


『あんたっておだてるのも下手だわ』


『うるさいなこのやろ』


人がせっかく褒めてるのに!

本音じゃないにしても褒めてるのに!

なんで素直に受け取れないかな?


『本音じゃないからに決まってるわ。…じゃあもう帰るわね? これ以上いて、バカが移ってもかなわないし』


『だからな、移るほどのバカは持ち合わせていない……っていうか元々バカじゃないもん』


『はいはい。じゃーね、真裕ちゃんによろしく。…頑張ってって言っといて』


『どういう意味だコラ』


『あら。反論するってことは分かってるってことね』


おうよっ。

こちとらダテに十年も二十年もお前と付き合ってるわけじゃねーのよ!


ふんっと鼻息荒く反論した頃にはもう時すでに遅し。

キャロルが出て行って、部屋の扉が閉まるところだった。


「……ふっ。虚しい」


サッと右手でかっこよく前髪を払い、渋く決めてみた。フッ。

俺って意外とイケるんじゃない?

若い女の子にモテるかもしんない。

今度……ナンパしてみようかな!?


          ―父の日常編 完―


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