persona of fairytales
白兎ヲ追イカケタ少年


「・・・・・・ん」
暑い。

羅衣は顔を顰めながら、寝返りをうち。
そして、気づいた。
床の固さと、冷たさに。

ふと羅衣の頭に疑問が沸く。
羅衣はいつも畳の部屋のベッドで寝ている。
だから、いくら寝相が悪くベッドから落ちたとしても、このように硬い床で寝ているなどありえない。
しかし、服越しに伝わるこの冷たさは、フローリングに直接転がされていることを教える。

「なぜ・・・・・・?」
ぼんやりと、自然に出た声と共にゆっくり目蓋が持ち上がる。
そして、掠れる羅衣の視界に映ったのは・・・・・・
「あ、やっと起きた見てぇだな」
表情の無いウサギさんの顔。
しかもどアップで。
「・・・・・・・・・はぃ?」
変な声が出た。
起きた瞬間にいきなりのコレはキツイ。
羅衣は何も考えず、慌てて上半身を起こし、
――ゴンッ
おでことおでこがごっつんこ。

「~~~~~~~ってえ!!いきなり起き上がんなっ馬鹿!」
「・・・・・・・・・ばか、ですか」
おでこを擦りながら、口の中で先ほど言われた罵倒を転がす。
痛いのは、こちらも同じだが・・・・・・。
上半身を起こしてじっと、羅衣は上目遣いに観察した。
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