月夜に舞う桜華
目だけを向けると、椿に殴られた箇所を押さえながら四人が立っている。
視線の先には、椿しか映されていない。
「仮にも総長だった女だぞ?」
「総長の頃もキレたら手がつけられなかった。」
俺は、改めて椿を見下ろす。
そして、先程の発狂の姿を。
「…………」
「あっおい!」
椿の背中と膝裏を支えて持ち上がる。俗に言う姫抱き。そして、何も言わずにスタスタ歩き出した俺に、慌てて司が呼び止める。
肩越しに振り返り、司を一瞥した後、彰真に目をやる。
「彰真、ちゃんと片付けしとけ」
「えー――…」
「あ?」
「………片付けしときます」
「そいつら、使っていいから」
四人に目を向けてから俺はまた歩き出す。後ろで喚いていたが彰真に阻まれて四人は追いかけて来ることはなかった。