月夜に舞う桜華
いつもあたしは一人だった。
家にいても誰もいない。
寂しくて、家にいたくなくて外にいれば変な連中に絡まれて。
自分の身を護るために喧嘩をするようになった。
女の身で喧嘩をして男に勝てば瞬く間に噂となって広がりあたしは常に誰かと喧嘩するようになった。
一人が嫌だったあたしは例え喧嘩でも楽しかった。
あいつ―――和も初めはただの喧嘩ふっかけていた男に過ぎなかった。
『―――あんた、強いな』
ニヤリと笑う和。
和は中々強くてふらふらになるまでに喧嘩したのを覚えている。
和は、一匹狼だった。
あたしと同じように一人でさ迷って喧嘩をする。
あたし達は同じだった。
これが、皇蘭の始まり。
和とつるむようになってからあたしの回りには沢山の人間が集まってきた。