月夜に舞う桜華



「ほ……とに…?」

「あぁ」

「居場所……くれるの…?」

「俺が居場所だ」

「っ……信じて、い……のっ」

「あぁ、信じろ」


1つひとつ朔夜からの言葉には嘘など混じっていなかった。


もう何も誰も信じないって思っていた。


だけど、だけど



もう一度だけ信じてみたい。


「あた、し離れな……いよ…?」


シャクリあげながらあたしは朔夜の制服を掴む。朔夜は、小さく笑うと挑むところだと頬にキスをした。


「裏切っ、たら、許さない、から」

「あぁ、煮るなり焼くなり好きにしていいから」


ポンポンと背中をあやすように叩かれ、とうとうあたしは爆発した。


「ぅわぁぁぁんっ」


ギュッと朔夜の首にしがみついて、みっともないくらいワンワン泣いた。


もう一生分じゃないかって位に。


その間、朔夜はずっと抱き締めていてくれた。


< 152 / 310 >

この作品をシェア

pagetop