月夜に舞う桜華



数は、4。
皆、見知った顔だった。


「久しぶりだな?……桜姫」

「…………」

「探したぞ?」


愁いを帯びた瞳にあたしは一瞬申し訳ない気持ちになる。


「―――――今更、何のようだ?」


しかし、あたしの口から紡がれた言葉は彼らを非難するような言葉だった。


「今更?」

「そうだ。あたしはもう総長じゃない、お前等と関係ないはずだろ?」

「………勝手に消えたくせに」


ポツリと背中に言葉が投げられる。


あたしは、小さく笑う。


「消えたんじゃない。死んだんだ」

「え?」

「桜姫は、死んだんだ」


今度は彼らが固まる番だった。
あたしは、笑う。


「ということだ、あたしは今やお前等と関係ない世界の人間だ」


桜姫は死んだ。
今は五十嵐椿。


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