お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~
土手の下には人影がほとんどなく、河原にポツンと座るアキの姿は、簡単に見つけることができた。
「ア――」
喉まで出かかった声を、あたしはとっさに飲みこんだ。
……なんか、ちょっと様子が変?
アイツがボーっとしてるのはいつものことだけど、少し違う。
なんていうか……
そう、寂しそう。
ななめ後ろから見たアキの背中が、なぜか無性に弱々しく見えて。
「……」
夕暮れに溶けて消えてしまいそうなアキを、あたしは土手の上から、ただ見つめていた。