ワケアリ夫婦っ!!
"私が、日向さんの代わりにお話をつけてきます"
そう言って、怪しまれないように、あたしの彼氏のフリをすることが決まったらしい。
普段の彼だったら、あたしのためにそこまでしてくれるなんて。
最初に話を聞いたときは信じられなかった。
これから、中津さんが煌星に会って、何を話すのかなんてあたしは知らない。
きっと、聞いても教えてくれないから。
バイト先まで、数分というところであたしは足を止めた。
「………やっぱり、やめませんか?」
これも全部、日向があたしのためにやってくれていることは、分かっている。
でも、どうしても乗り気になれないのだ。
うつむくあたしに、数歩先で止まった中津さん。
きっと……彼だって、あたしのためなんかにこんなこと。
したくないはずだから……。
だけど、そんな彼の口から出てきたのは。
「………それは、できません」
揺るぎない、真っ直ぐな一言だった。
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