幕末怪異聞録
「お登勢さん!お登勢さんおるがかえ!?」
「!?」
土佐なまりの声が響いた。
もしやと思い、時雨は二階から顔を覗かせた。
「あ!!やっぱり龍馬だ!
ん?誰?」
「おう!!時雨さんやないか!こん方は…て、それよりお登勢さん呼んで来てくれんか?」
「うん!」
時雨は急いでお登勢を呼びに行った。
「お登勢さーん!龍馬が帰ってきましたよ。」
「あら、ほんまに?」
「誰か連れてきてたような…。
龍馬が呼んでたよ。」
「そうやの?早よ行かなね!」
それから時雨はバタバタと仕事をこなして、落ち着いた頃に坂本の部屋に行った。
「龍馬。時雨だが、入ってもいいか?」
「おう!入ってもええぜよ!」
スッと襖を開け、中に入ると坂本と一緒に来た男と向かい合っていた。