幕末怪異聞録
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時雨は通りに出ると、藤堂がいた茶屋に目を向けた。
だが、伊藤と話している間にいなくなっていた。
(やはりいないか……。)
何故かその時、胸がざわつく感覚に陥った。
もう、藤堂に会えないような、そんな感覚に……。
(まさか…な……。)
「——はぁ……。」
考え過ぎか。と頭をかき、買い物を再開した。
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その夜———
「時雨?」
「ん?何だ?」
時雨と沖田は鍋をつつきながら、のんびりしていた。
「そんな髪紐つけてたっけ?」
(あいつ、長州の人間だし、言わない方がいいよな……?)
「あー……。買ったんだ。」
「——そうなんだ。」
ふっと微笑む沖田の顔を見た時雨は、嘘がばれたんじゃないかとドキッとした。