幕末怪異聞録
(――ここか!)
部屋の前に着き、沖田に声をかけようとしたらグッと腕を引かれた。
「どした?中に入らないのか?」
「――僕は入らない。やっぱり近藤さんを撃った奴を――……。」
そこまで言うと部屋から土方が出てきた。
「総司。近藤さんを撃った奴をどうすんだ?」
「土方さん……。」
腕を組み沖田を睨みつける土方はまるで沖田を叱りつけているようだった。
沖田は近藤を撃った奴を見つけ出してやろうとどうにも頭に血が登っていた。
しかし、それがどれだけ危険であるか、自分にその力が残っていないか、十分に分かっているだけに余計に気持ちの吐きどころがなくこの場から走り去って行きたかった。
「じゃあ私がそいつを捕まえて来たらどうだ?」
「……は?」
思わぬ時雨の提案に土方も沖田も呆気に取られてしまった。
そんな事を気にするでもなく時雨はニコッと笑った。
「とてもいい案ではないか?よし!土方、総司の手を代わりに握っていてくれ。私はこれから行って――」
「あんたはアホか。」
沖田を無理矢理土方に押し付けて今にもかけて行きそうな時雨の首根っこを掴まえたのは山崎だった。