幕末怪異聞録


その意味が分かった灰鐘は、鼻で笑い部屋にいる全員を見据えた。



「私は幕府に追われる身。いつ殺されてもおかしくない身の上だ。
あんたら新選組に幕府から私を殺すよう命が下ったり、私が新選組に害を及ぼすとなれば殺してくれて構わない。

だが、そこにあり、信じていたものが本当に真とは限りはしないのだよ…。」


最後の言葉は小さく呟いたため、あまり聞き取れなかったが、その言葉は裏のない真っ直ぐな言葉であった。


その言葉を聞いた土方は少し笑い、言葉を紡いだ。


「なかなか肝が据わった女だなぁ…。うちの隊士にも見習わせてぇ…(笑)」


「女も度胸が必要なんだよ。」


おかしそうに笑う土方が気に入らなかったのか灰鐘はフンッと顔を背けた。


そんな一連のやり取りを見ていた近藤は思い付いたように膝を叩いた。


「そんなに馬が合うなら灰鐘殿はトシの隣の部屋を使えばいい!」



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