ベンニ
第2章

第1節

モヤモヤした頭が嘘のようだった。



ベンニの薄茶色の目がゴールドに輝いていた。




ポケットの中をまさぐり、タバコとライターをとりだし、タバコに火をつけた。



深く息を吸い込み、ぼんやりと奥を見つめた。



こんなにすがすがしい気分は初めてだった。



ゆっくり味わって吸い終わると、ベンニは音を立てないように階段をのぼって、ドアに向かって行った。
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