マスカット


――――そしてしばらく歩くと、男の足が止まった。

「はい、着いた」

「‥やっと着いたの~?ふー、疲れた」


ドサッと段ボールを地面に置き、ふと周りの光景を見ると―――



「‥‥私ん家?」



目の前には、私ん家の玄関。


「‥‥は?お前なんつった?」

男が私に問い掛ける。


「え、だからここ私ん家なんだけど‥‥」



―――どういうこと?



男は目を大きく開き、家と私を交互に見る。


「ここが‥お前ん家‥‥?」

「そうだけど‥あんた私ん家に何か届け物でもあったの?」



みるみる男は焦った表情になる。


「ちょっと待って‥‥まさか、お前って‥浅森純‥‥?」


「え、そうだけど‥。なんで私の名前知ってんの」


―――この男は何でこんなに焦った表情をしているのか分からない。


―――あと私の家の前にいる事と、私の名前を知っている事も‥‥‥


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