花日記

綾子は俺の腕の中で、戸惑っているのか小さく声をあげた。



「…暫く。」



俺はそれだけ言うと、またその暖かさに甘える。



綾子もそんな俺に対して、少しだけその重みを預けてくる。



それが、どうしようもなく嬉しくなる。



こんなにも近くに、いることが素晴らしいことに思う。



この姫に。



一体どのくらい、そうしていたのかはわからないが、全身が暖かくなった頃にゆっくりと身体を離した。



これまで見えなかった綾子の顔が正面に来る。



綾子の頬はほんのり赤くなっていた。



その表情を見て、綾子の唇に自分のそれを重ねたい衝動に駆られる。



それをぐっとこられて、ただ赤く染まった頬を見つめた。


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