青騒-I SAY LOVE-

◇ ◇ ◇
  
 
ケイさんから連絡を受けて数日、相変わらずチームに彼の姿は見受けられなかった。
 
一刻も早く元気になって顔を出したいってメールには綴られていたけれど、まだまだ調子が戻らないんだろうなぁ。

キヨタさんなんて、日に日に「もしかして入院?」とか青褪めてネガティブ思考に入ってる姿が多々見られたし。

仕舞いには「俺っちも入院するしかないよなぁあ!」って、とんだ発言をして周りを呆れさせていた。


普通はそこで入院をしたらお見舞いに行く! とか言うんだろうけれど、キヨタさんは違ったみたい。
 

唯一キヨタさんの気持ちを酌んでいたのは、親友のモトさん。

乱心気味のキヨタさんの両肩をガッシリ掴んで、「そんな気持ちにもなるよな!」熱弁も熱弁。堰切ったようにヤンヤンと兄分について弁論を始めた。


「分かる。キヨタの気持ちは痛いほど分かる。
オレだってヨウさんが入院でもしようもんならっ、『弟分として一緒に入院するしかねぇだろこれぇえ!』とか『この病院にヨウさんを任せられるのかぁああ?!』とか考えちまうよな! 痛いほど分かるぞ!

でもネガティブになってばっかりじゃ、弟分としては務まらないわけだ。

ポジティブに兄分の身の上を考えて、『入院したら見舞い品として何を差し入れよう』とか、『兄分の好きなものを把握するチャンスだぜ!』とか、『栄養管理だって弟分がこなしちゃうんだぜ!』とか明るく考えるだよ。

確かにさ、…もしヨウさんが入院っ、想像しただけでも泣けてくるけど、泣いたって弟分の肩書きが泣くだけだし! 男なら背中で泣くもんだぞ!」


「モト…っ、お前ってホンット弟分の鏡だなぁ!」


「あったぼうよ。オレはヨウさんの弟分なんだからな。
ケイにだって負けない、ヨウさんの弟分だって言ってやる自信があるんだ。キヨタも、それくらい強い気持ちを持てよ。親友として応援してる!」


「なんか気持ちが軽くなってきたっ。俺っち、お前みたいに頑張るよ、モト!」
 


………。

凄まじい、光景と、友愛を、たんと、味わいました。はい。
 
< 156 / 322 >

この作品をシェア

pagetop