届かない、先生《短編》
私の中に強く、森山先生が必要とされるようになった。
もう泣かないと決めた。

私は秀くんを口実に、何度も職員室に足を運んで会いに行った。

森山先生は、楽しそうに真剣に私の話を聞いてくれた。

亜希には気付かれてしまった。
「森山好きでしょ?」
私が驚いた顔をしたのだろう、見たら分かるよと私に言った。

「でも‥伝えちゃだめだよね?」
私の辛い現実の問いに、亜希は悲しそうに頷いた。
「我慢だね‥卒業式まで待ちな」

だけどね、森山先生奥さんも子供もいるんだもん。
亜希は敢えてそのことに触れなかったけど、卒業してから伝えたって、森山先生が困るのには変わりないよ。

秀くんも好き、森山先生も好き。
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