届かない、先生《短編》
冬休みに入る少し前、私は約束して以来はじめてコンピューター室に行った。

秀くんのことじゃない。
友達関係のことで。
女の子は怖いと、私は中立の立場だったにしても、改めて思った。

中立の立場だったから、かもしれない。

私はまた泣いてしまって、森山先生は優しく背中を撫でてくれていた。
「泣き虫だなあ」
そう言いながら。

そして小さな声で呟くようにこう言ったの、私は分かっていたよ。

「ほっとけんよ」

ってね。
これに気付いちゃいけないのでしょう?

私は何も聞こえなかったようなフリをして、涙を流し続けた。
森山先生も、何も言わなかったようなフリをして、私の背中を撫で続けた。

間違ってないよね?
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