心友。~友達の彼氏をスキになった。~

「なぁ藍、卓球してる悟って一回見てみたいと思わん?」


明るい声でマリアが訊いた。


その声につられるように、藍が顔を上げる。



「あかんあかん、もうスパッと諦めようと思って髪まで切ったのに」


「諦めるって何を?」


ユキが優しく藍を覗き込む。


「え? 別に…もうええねん」


「何が?」


「ほんまにもう……うん」


「人生諦めへんことにしたんやろ?」




短くなった藍の髪を、マリアがポコッと叩いた。


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