心友。~友達の彼氏をスキになった。~
ふと藍は心の真ん中がほっこりと温かくなってくるのを感じる。
(もう男の子を好きになることなんて、ないと思ってたのに…)
あの夏以来、意識的にも無意識のうちにも、藍はいろいろなことを遠ざけ背を向けて来た。
そうしなければ心の平衡が保てなかった。
でも…
リアルな恋愛はまだ無理だが
『友達の彼氏』なんて発展性のない相手に疑似片想いをしているくらいが、今の自分にはちょうど良いように思えた。
(ま、軽いリハビリってとこか)
藍にとって悟への仄かな想いは
真っ暗な闇に灯った微かな微かな灯だった――