籠のなかの花嫁
データBOXを開き、画像を澄人に見せる。



「コレ、歌手の“Kazu”か?」


「そうです。小学生の時から好きで、CDも買ってるんです」



今、幅広い年代に大人気のアーティストグループの“Eagle”。


そしてその3人の中の1人である“Kazu”が、美羽のお気に入りなのだ。



「へぇ」



だが、晴太はあまり興味がない様子だった。



男には興味ないか・・・。



そう思って美羽が再度パンフレットに目を移すと、フッと劇場の明かりが消えた。






────────────・・・



「良かったな」


「はい。ありがとうございました」



2時間近くの映画が終わり、劇場を出る。



思った以上に良かったなぁ。

連れてきてもらえてホント得した感じ。



久々に見れた映画はとても良く、美羽は上機嫌だった。



「また見たい映画があったら言えよ。連れてってやるから」


「ありがとうございます。でも、次は友達と行くようにしますから・・・」



あまり、あたしばっかりやってもらう訳にいかないし、仕事が忙しいだろうし。



美羽が気にしていることは十分分かってはいたが、晴太は自分とは行きたくないのかと、どうしても思ってしまった。



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