氷姫に騎士を


「…それが、貴方なのね」

応急処置をしてる間、リリア姫が声をかけてきた。

初めて会ったときと同じ、冷たい声と視線を感じる。

敵に情けをかけることは、護る側にとって大きなミスにつながる危険であり、それは護られる側にも言えることだった。

どの道、主に怖い思いをさせた以上、何かしらの罰があるのは明白だったし、しばらくは騎士の資格剥奪といった罰が待っているだろう。


「申し訳ありません、リリア姫」


敵の傷を手当をし終わり、俺は姫に頭を下げた。

騎士は何かあれば必ず頭を下げる。

主に対して、すぐ謝るという安い頭を持つのはごく当たり前の光景だ。


「…あなたは、素のあなたでいなさい。下手な敬語など使わずに。その行動も全てそのままで。…父様や執事長には私から説明します」


は?

素の俺っていうことは、主に対して敬語なしということなのだろう…

確かに言語に気を使わない分、楽ではあるが、騎士が主に対する態度ではない。


「…私には貴方が必要だから」


必要…?


なんのために…。



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