氷姫に騎士を


「すみませんが、姫。
私は、どんなことがあろうとも、あなたの騎士を辞める気はありません」


「…本当に、そうかしら…?」

俺をじっとみるリリア姫の目は絶望を知っていた。

俺の前に何人の騎士が彼女に付いて、居なくなったんだろうか。

…とにかく今、俺が何を言っても彼女の耳には届かないことはわかった。

夜が開け、リリア姫を護れたら少しは何かが変わる。

そう、雑念が頭を過ぎる。

「…帰りましょう」


「はっ」


リリア姫を大切に抱えながら、俺はいつでも剣に手をかけられるように備えた。


そして、馬を止まらせて置いた岸辺へとゆっくり近付く。

ピリピリと複数の殺気が立っているのを肌で感じながら。

理由はわからないが、そいつらの目的はリリア姫だろう。
彼女を傷付けないようにどうやって、倒せばいいかなんて、簡単だ。
ただし、それを許してくれるかまでは、わからないが。

「少し、荒い手を使いますが、いいですよね」

耳元で囁くと、彼女も

「ええ」

と一番小さな声で答えた。


これで、直ぐに片が付く。



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