君を想うとⅢ~True love~



そんな卑怯な言葉を口にして
しゅーちゃんはエビトーストを更に頬張る。






「うん、ウマイ!!」






そう言って…
無邪気に屈託なく微笑むしゅーちゃん。







―ズルい。
しゅーちゃんは…ズルい。






普段そんな甘いセリフなんて一切言わないクセに。

高校の時なんて“恥ずかしいから”って理由で『好き』の二文字すらちゃんと言ってくれなかったクセに。






こんな時に
こんなタイミングで
そんなセリフを口にするなんて。







しゅーちゃん、胸が痛いよ。
胸の奥がズキズキ痛い。









満足そうな顔をしてテーブルの上に置かれた料理を平らげるしゅーちゃん。

複雑そうな顔をしてしゅーちゃんを見つめる理央。


そして…
行き場のない気持ちに悩んでる私。









桐谷慎に出会わなければ

しゅーちゃんと再会しなければ








こんな板挟みな気持ちに悩まなくてもよかったのかな。


そしたら…
こんな風に苦しいくらいに誰かを愛する気持ちを知らずにいられたのかな。







バカな私はそんなことを考えながら、黙々とゴハンを口に運んだのだった。



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