こねたぼっくす



「お前、趣味変わったよな」

「…はあ?いきなり何?」


そう、唐突に呟いた男を見る。

俺の幼なじみで親友で

――恋敵だった、男。


――大森 斗真

その斗真は俺じゃなくって、愛しい愛しい奥さんを見ていた。

俺も視線の先を見てみる。

小さな女の子がお茶の用意をしながら大きなお腹を撫でていた。

俺が好きだった、女の子。


「あいつら正反対だろ」

「…その話はもういいって」


それに、斗真に言ってもわからないだろうし。


俺の初恋の人は美人で気が強い人だった。

いつも不敵に笑っていたけれど、陰では泣いていた。

そんなあの人の力になりたいと、ガキながら俺は思っていた。

まあきっぱりと、ガキに興味はないって振られたんだけど。

それからあの人に会うとあのとき言い返せなかった自分を思い出して固まってしまう。



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