その涙も俺のもの

幼なじみ以上


―え?


私は驚いて声も出ない。



「秋田のせいよ、あいつがフラれたってだけじゃなくて、佐賀とデキてるって話したの。始めはあまり信じてなかったけど…その…」


「その?」




少し敦子がとまどっているようにも見えた。

視線を落とし、再び私を見る。




「庵君が来て、秋田を殴りつけたの」


「っ!!」

「『俺の女に手出すな』そう言って…」




"俺の女"


敦子から出た響きが、いお君の声になって私の脳裏に響き渡る。


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