運命の初恋愛
「知り合いだなんて……それに私、嫌われてるみたいだし」


何か、無視されてばっかりで――…


私はうつむいた。



「嫌われてるって…――ああ、気にする事ないよ」



そんな私に、先輩はそう言ったけど……。



「でも――、何となく嫌な気分」



これでも一応、接客業してるし。



最近は、


「感じがいいね」


とか。


「笑顔がいいね」


って。


お客さんに褒められたりしてたのに……。




私が、しょぼくれていると。





「記憶喪失の中でも珍しいケースでさ」



先輩が切り出した。




「意識が戻った時、自分が誰なのか、ってだけじゃない。


今まで生きてきた『知識』や『生活習慣』、『言葉』や『感情』……


その全てを覚えていなかったんだ」





「――え…?」



それって…――。




「本当に全部の記憶を失っているんだ」




!!!




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