運命の初恋愛
#09 【見知らぬ人】
「お先に失礼しまーす!」


その日、元気よく店を出た。
午後2時ジャスト。

急いで市民病院へと向かう。


駐車場で化粧と髪を整えて、いざ中庭へ。



ところが――。



「……いない」



いつも座っているベンチにも。
その周辺にも、中庭中を見渡してみたけど。


どこにも、……いないの。


足長さん――?


ショックで呆然と突っ立っていたら。



「木崎っ」


名前を呼ばれて、ハッとした。


「清……先輩……」

もしかして、と思って、先輩の後ろを探してみた。


やっぱり、いない。



「先輩、……足長さん、は?」

恐る恐る、聞いてみる。


「木崎、あのな――」

先輩が、困った顔で、言葉を濁す。


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