星にキス。




明日になって、問題を見ないとなんとも言えない。


明日のために、本当に頑張ってきた。


“特待生”なんて、狙っていないと言えば嘘になるけど…… せっかくの“特待生選抜受験”なんだ。

“特待生”を狙わないともったいない。


「大丈夫――― 大丈夫」


胸の前で、キュッと手を握り、呪文のように唱える。


受験なんて、誰もが不安なんだ。

不安を感じない人は、いないはず。


今日までしてきたことを無駄にしないように…… 肩まで布団を被る。


瞳を閉じて――― 受験後の事を考える。


受験が終わって、数日はゆっくりしよう。

それで、学校ではハルに数学を教えてあげよう。

ハルの苦手な、関数と確率の混ざったあの問題を一緒に解こう―――。


ゆっくり訪れる眠気に、見を任せるようにあたしは眠りに落ちて行く―――。




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