星にキス。




おばさんがお茶を運びながら、首を傾げた。


あたしはただ――― 翔ちゃんを探していただけ。


でも、それをおばさんに伝えていいのかわからずにいる。


「いえっ、ちょっと“綺麗な部屋だなー”って思い、見てました」


だから、こんな嘘をつく。


本当は直接聞きたい。


でも、この1年。 おばさんとの電話でわかったように、あたしと翔ちゃんの話しをしたくないのは――― 明白であった。

そんなおばさんに本当に聞いていいのか…… 戸惑う。


3人での会話は和やかに進み…… 何時間も経っていた。


時計を確認すると――― ヤバい。 あと、1時間しか翔ちゃんの家にいることが出来ない。


この数時間、翔ちゃんが顔を見せることは無かった。

…… と、いうことは。

今、翔ちゃんはこの家にいないということになる。


だから、あたしは横槍(ヨコヤリ)を入れる。


「翔ちゃんってどこにいるんですか?」




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