星にキス。




つい、聞いてしまった。

こんなこと聞いていいのかわからないけど…… 口から言葉が発したあとだった。


「あの、ナツちゃんさ。 今は、夏休みだよね?」


「はい、今は夏休みです」


「じゃあさ、こっちに遊びに来ない?」


――― えっ。

遊びに…… ?


「ヒマだったらでいいんだけどね……」


本音を言えば――― 行きたい。


向こうに行けば、翔ちゃんに会えるかもしれない。

翔ちゃんと話すことが出来るかもしれない。


「お家に帰って、お母さんに相談してみてね」


「はい――― ありがとうございます」


“それじゃあっ”と言って、電話を切った。


「……」


コテンッ―――。

窓ガラスに背中を預けた。

“ハァー”と、体から大きな息を吐き出した。




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