星にキス。




「ほら、ナツと翔ちゃんはいつも一緒にいたし…… 手だって繋いでいたし」


「それって小さい頃だからだよ」


そう…… 小さいから、幼いから。


「あぁ、あの頃のナツは可愛かったー」


「――― ん? どういう意味よ!」


「そのままだけど?」


ムーッッ! なんだかそれじゃあ、あたしが可愛くないみたいじゃん。


「こんなに素直ないい子に育ったって言うのに」


「どこが素直なのよ……」


お母さんにあきられながらも、楽しい夕ごはんを終えた。


お母さんの手伝いを少しやって、お風呂に入った。

そして、あたしは受験勉強を始める。


…… の、前に。


ケータイを取り出して、11ケタの番号を表示させ、通話ボタンを押す。


耳には、規則的な電子音が聞こえる。




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