黒い飴玉
“スゥー“
思い出そうとしていたら、急に涙が頬を伝わる。
“ゴシゴシ”
涙を拭いながら突然現われた感情を紛らわすように私はまわりを見渡す。
黒と白ばかりのそこは見ていると目がおかしくなるようだった。
それでも
見渡していると一箇所だけ白と黒以外の色があった。
私の存在に気付いていないのか黒い何かを眺めている青年。
後姿でよくわからないが、淡く仄かに赤く色づいたTシャツとどんなに綺麗に染めても真似できない銀色の髪が印象的だった。
「誰?」
私は平静を装いながら男性に聞こえるほどの大きさでたずねる。
だが声は自分でも分かるほど震えている。
“誰?”
何も音のしない部屋で私の震えた声がこだました。