涙飴
何となく、大地の話の内容がどんなものなのか分かって来た。


「でも、九條と出会って……今まで体験した事のない気持ちになった。
初めは話してても楽しいどころか気まずいし、沈黙も多いし、何話していいか分かんねーし、九條の顔まともに見れねーし……心臓バクバク言って苦しいし」


そう言う大地の顔は真っ赤だった。


「でも、頭から離れない……初めはこれが何なのか分んなかった」


「それが、恋だったんでしょ?」


あたしは落ち着いた声で言った。
もう、動揺はなかった。


「あぁ」


ここまで言われれば、理解出来た。


「つまり大地は友情と恋愛を勘違いしてたって事でしょ?
本当馬鹿だね~!あたしはそんなんじゃないからね」


「……ごめん」


その一言は、あたしの心に重く伸し掛かる。
たった一言だけど、その一言には重みがある。


「何で謝るの?あたしはただ、好きって伝えたかっただけ。
大地には華耶が居るし、別にもういいと思ってるから。
だから返事はいらない。
この気持ちが伝わったならそれでいいから」


明るい声でそう言った。
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